現役トレーダー・フッキーの「金融リテラシー養成大学」

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証券会社の営業との正しい付き合い方

どうもこんにちは。現役のトレーダーで、どちらかと言うと投機家のフッキーです。
当ブログでは、現役のトレーダーとしての実感・経験・知識から、「金融リテラシーの向上」に役に立ちそうな情報・知識をアウトプットしています。
 
今回は「証券会社の営業との正しい付き合い方」について述べていきたいと思います。
※耳で聞きたい方のためのラジオ版(同内容のYouTube)はこちら↓
 
 
☆証券会社の営業と付き合うメリットとは何か?
 
おそらくこれから投資を始めようと思っている方や、投資をやっているけどなかなか上手く行かなくて悩んでいる方が割とやりやすいのが「証券会社の営業に担当についてもらって、資産運用についてアドバイスを受けること」だと思います。
そして営業と付き合うことについての主なメリットとして考えられていることは、
 
①「右も左もわからない状況においては、誰か相談出来る相手がいた方が安心」
②「証券会社の営業=投資のプロだから、担当に付いてもらった方が確実な資産運用ができる」
 
という2つのことだと思います。
この2つについて、個人的には1つ目の「相談出来る相手がいた方が安心」というのは部分的にメリットだと思いますが、2つ目の「証券会社の営業=投資のプロ」はほぼ完全に間違っていると思います。
 
 
☆証券会社の営業とは何なのか?
 
結論から言うと、
 
「証券会社の営業≠投資のプロ」
「証券会社の営業=金融商品の販売のプロ」
 
だと思っています。
つまりは
 
「証券会社の営業は金融商品についての知識は豊富だが、投資スキルは皆無に等しい可能性が高い。」
 
ということです。
言い換えると
 
金融商品の知識は一般人よりも多いが、投資スキルは一般人と変わらない可能性が高い(=50:50)」
 
ということになります。
ではなぜそうなるのか?
答えは簡単で、
 
「投資で利益を挙げるスキルがあるなら、営業ではなくトレーディング部門にいるハズだし、そもそも利益を挙げる方法を他人にわざわざ教えるメリットがないから。」
 
です。
あと売れている営業とは自分自身の実感としては
 
「お客さんに利益が出ている、投資成績が良い営業」
 
ではなく、
 
「お客さんに損が出ていても、抜群のコミュニケーション能力で印象を悪くさせない営業」
 
という感じでした。
そしてコミュニケーション能力が高い営業にとっては「お客さんに利益が出ている状態」ではまさに鬼に金棒状態で、更に営業成績を伸ばします。
つまりは証券会社の営業にとって必要なスキルは、
 
「投資スキルではなく、お客さんと仲良くなる能力」
 
ということになります。
もちろん全ての営業に投資スキルがないとは思っておらず、中には確固たる作戦を持って提案する営業もいるとは思いますが、基本的には「証券会社の営業の99%以上は投資スキルがない」と思っておいた方が良いと思いますし、実感としてもそうでした。(あくまで可能性の問題で、「確固たる作戦を持った投資スキルがある営業」は見たことがなかったです。むしろ「なんでこんなことも知らないヤツがこんなに営業成績いいんだ?」という感じが多かったです。)
 
そして「確固たる作戦がない」+「利益確率:損失確率=50:50」=「直感・イメージに従った期待値がマイナスになる可能性が高い取引」となるので、基本的には営業の言う通りに証券を買っていたら、長期的には損失が出る可能性が高いと思います。
 
ちなみに一番タチが悪いのが、
 
「自分に投資スキルがあると勘違いしている、自信満々のコミュニケーション能力の高い営業」
 
です。
そういう人たちは「確率」も「期待値」もわかっていないですし、何よりも「大して調べていなくてエビデンスもないクセに、自分の直感に対して自信を持っている自信過剰状態」という場合が多いです。
そういう人を見かけたら、一目散に逃げましょう。
短期的には良い思いが出来る確率は50%ほどありますが、中長期的にはひどい目に会う可能性が高いと思います。
それでもそういう「自称投資のプロ」と出くわしてしまったら、以下の8項目を質問するといいと思います。
 
①トラックレコード(投資実績)
②総取引回数
③利益確率:損失確率
④利益確率:損失確率の統計的有意水準(1%&5%)
⑤取引一回あたりの利益:損失
⑥取引一回あたりの期待値
⑦取引一回あたりの期待値の標準偏差
⑧トラックレコードのベータ・アルファ
 
これに全て答えられなかったら基本的に信用しない方がいいですし、②の総取引回数が少なかったり、④の統計的有意水準が無かったりしたら、そもそも信用出来ないと思います。
 
 
☆証券会社の営業の目的
 
そして「自分の人を見る目に狂いはないから、自分が信用した営業は大丈夫だ。」と思われている方がいたら要注意です。
なぜなら「自分の直感に対する自信過剰」に陥っている可能性が高いからです。
そういう時は「証券会社の営業の目的って何だろう?」ということを考えてみて下さい。
答えは、
 
「お客さんが利益を出すこと」
 
ではなく、
 
営利企業として、手数料と信託報酬を稼ぐこと」
 
です。これに尽きます。
つまりは
 
「売った株が上がろうが下がろうが既に手数料はもらえているのでOKで、利益確定・損失確定でもまた手数料がもらえる。」
「売った投資信託が上がろうが下がろうが既に販売手数料はもらえているのでOKで、下がっても損切りせずに保有し続けてくれればその間は信託報酬をずっともらえる。」
 
ということになります。
要するに
 
「売った商品が上がっても下がっても、証券会社は損をしない。」
 
といった状況になっているので、基本的には「お客さんの利益・損失」と「証券会社の利益・損失」は噛み合っていないのです。
正確に言えば、
 
「証券会社にとっては、お客さんに損を出させることにインセンティブはないし、狙って損を出させることも出来ないが、お客さんが損をしても証券会社の懐が痛むことはない。」
 
ということです。
 
 
☆ではどう付き合えばいいのか?
 
結論から先に言うと、
 
「利益を出すことは諦め、その営業の人の出世を応援するためにボランティアとして貢献したいのなら付き合うべき」
 
ということになります。
元も子もない結論ですが、「営業には投資スキルがない」ということを鑑みると、そう思っておいた方が現実的です。
あと「営業との付き合い方」であるとすれば、
 
「普段から付き合っておいて、人気の新規公開株(IPO)があった時に配分をもらう」
 
というのがありますが、基本的に証券会社は「今後、多額の入金や手数料が見込める大口顧客」にしか配分したがらないですし、そもそも「IPOは特定の人に偏った配分をしてはならない」という規則があるので、毎度もらえる可能性は低いです。
ちなみに「大口顧客でもないのにやたらとIPOの配分をよこせ、と言ってくる人」は「IPOマニア」と呼ばれ、「特に面倒くさい顧客」として証券会社の営業から忌み嫌われます。(そういう人は人間としてはどうかと思うが、手数料を払い過ぎていなければその行動自体は割と経済合理性がある。)
 
 
☆まとめ
 
ここまでをまとめると、
 
・「証券会社の営業=投資のプロ」ではない
・証券会社の営業にとって「投資スキル」は必要ではない。必要なのは「お客さんと仲良くなる能力」である。
・証券会社の営業の目的は、「手数料と信託報酬を稼ぐこと」である
・もし証券会社の営業と付き合いたいのなら「これは利殖行為ではなく、募金行為だ。」と思っておいた方がいい。
 
ということになります。
ごちゃごちゃ言ってきましたが、証券会社の営業は「仕事」ではこんな感じが大半なのですが、「日常生活」ではすごく良い人だったりする場合もあります。
なので考え方としては、「人を憎まず、仕事を憎む」という方がいいと思います。
それと「投資は自己責任」なので、たまに
 
「○○証券の営業に損をさせられた。」
 
みたいなことを言う人がいて、気持ちはわからないでもないですが、「そもそも最終的に買う判断をしたのはそのお客さん」なので、自分の選択の結果を他のせいにするのは話の筋は通っておらず、論理的にも間違っています。
そしてたぶんですが、そういうことを言っている人は学ばずに今後も同じことを繰り返し続ける可能性が高いと考えれらます。
なので、そもそもそういったことになるのは「証券会社との付き合い方を知らなかったことなど」が原因かと思われるので、そうなる前にちゃんと「証券会社の営業とはいかなるものなのか?」を知っておいて、未然に防ぐことが重要だと思います。
 
個人的な経験や意見ですが、参考出来そうなところは参考にして頂ければと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。