現役トレーダー・フッキーの「金融リテラシー養成大学」

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ROEとは何か?

どうもこんにちは。現役のトレーダーのフッキーです。
当ブログでは、現役のトレーダーとしての実感・経験・知識から、「金融リテラシーの向上」に役に立ちそうな情報・知識をアウトプットしています。
 
今回は「ROEとは何か?」について述べていきたいと思います
※「ラジオ的に耳で聞きたい」という方のためにYouTubeでも同内容をアップしています。
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ROE
 
正式名称はReturn On Equityで、日本語では自己資本収益率や純資産収益率などと言います。
計算式は
 
=純利益÷純資産
 
で、「投資家から預かったお金を、いかに効率良く使って利益を出しているか」を測る指標になります。
例えば純利益200億円・純資産1000億円の会社があったとしたら、この会社のROE
 
ROE=200億円÷1000億円
  =20%
 
ということになります。
この会社のROEが変わらないのであれば、純資産が5000億円なら1000億円の純利益を出してくれることになります。
一般的には15〜20%以上が「ROEが高い(=効率良く利益を出している)」と見做され、5%くらいだと「ROEが低い(=効率良く利益を出していない)」と見做されます。
ちなみに日本の企業の平均ROEは7%くらいで、アメリカの企業の平均ROEは12~15%くらいと聞いています。
明らかにアメリカの企業の方が投資家から預かったお金を使って効率良く利益を出しているということです。
2012年頃から日本では「ROEを意識した経営」がブームになり、関連書籍もたくさん出ていましたが、それは何故かと言うとROEが高い企業は投資家のお金を上手く使えるということなので、投資においては相対的にROEが高い企業が好まれる風潮がその頃から日本においても高まってきたからです。
 
 
ROEの注意点
 
一般的にはROEが高い企業は投資家から預かったお金を上手く使えるということになっているので、投資=ビジネスオーナーになるという風に考えるのであれば投資する企業のROEが高いに越したことはありません。
 
しかし厄介なのは、このROEというのは純利益を一切増やすことなくROEだけ高めるというマジックを使うことが可能だということです。
そのマジックのタネは「総資産に占める負債の割合を増やして、純資産の割合を少なくすること」です。
どういうことか説明します。
さっきと同じで純利益200億円・純資産1000億円の企業があるとします。
この場合のROE
 
ROE=200億円÷1000億円
  =20%
 
でした。
そして次の年度も200億円の純利益を挙げたとしますが、違うのはこの年度には株主還元のために純資産500億円を使って配当を行い、吐き出した分を埋めるために金融機関から500億円借り入れたとしましょう。
この場合は純利益200億円・純資産500億円・負債500億円ということになりますが、ROEは負債を除いた純資産のみを使って計算するので
 
ROE=200億円÷500億円
  =40%
 
ということになります。
これが純利益自体は変えずとも、資産構成を変えるだけでROEはいくらでも高めることが出来るということです。
単純に「ROEが高い企業=お金を上手く使える良い企業」という風に定義すればROEが前年比で2倍になったこの企業は「前年度よりも良い企業」ということになりますが、その実純利益額自体は変わっておらず、むしろ借り入れを増やしたことで財務体質は前年度よりも相対的に脆弱になっています。
 
 
☆まとめ
 
ROEは投資の際の一つの基準たりえますが、上記で述べた通りマジックも可能なので企業間を比較する時は「この企業の資産構成はどうなっているだろうか?」という視点も必要だと思います。
つまりはROEの数値だけを見るのではなく、その元となる純利益と資産構成の変化も見ておいた方がいいということです。
というか比較にはROAを見ればだいたい一発で利益効率がわかるのですが、それはまた別の回で説明したいと思います。
 
参考になれば幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。