現役トレーダー・フッキーの「金融リテラシー養成大学」

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投資の神様、ウォーレン・バフェットの思考の本質

どうもこんにちは。現役のトレーダーのフッキーです。
当ブログでは、現役のトレーダーとしての実感・経験・知識から、「金融リテラシーの向上」に役に立ちそうな情報・知識をアウトプットしています。
 
今回は「投資の神様、ウォーレン・バフェットの思考の本質」について述べていきたいと思います。
※「ラジオ的に耳で聞きたい」という方のためにYouTubeでも同内容をアップしています。
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御年89歳で「投資の神様」としてバークシャー・ハサウェイという上場企業を現役バリバリで経営しています。
ネブラスカ州オマハ在住のことから「オマハの賢人」とも言われています。
彼のバークシャー・ハサウェイでの投資実績は1965年から今に至るまでに毎年複利で平均20%以上のリターンを挙げているそうです。
同期間のS&P500のリターンが平均7~9%程度と言われているので、その2倍以上のリターンを挙げているバフェットの投資能力はいかに優れているかわかると思います。
そして投資の結果、バフェットの資産は現在約7兆円と言われており、自分の死後はそのほぼ全てを友人でありマイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツが運営する財団に寄付すると言っているみたいです。
ちなみにバフェットは毎日チェリーコークハンバーガーを食べて生きているそうです。
 
 
☆バフェットの思考の本質
 
結論から言うと、バフェットの思考の本質は
 
「時代に合わせて自分の思考を柔軟に変化させていけること」
 
だと個人的には考えます。
というのも、今までに色んな本や記事でバフェットの投資哲学に関して書かれていることは「過去はそうだったかもしれないけど、今は違う」だったり「そう言っていると言われているけれども、実際にやっていることは違う」といった、その時々によってバフェットの思考や行動が変遷していることが多々あるからです。
一般的にバフェットの投資哲学について言われている代表的なものに以下の4つがあります。
 
①バフェットの投資スタイルは「グロース株投資」である。
②バフェットは一度買った銘柄は売らずに永久保有する。
③バフェットは「ネット関連企業」は買わない。
④バフェットは分散投資をしない。数銘柄に絞った集中投資をする。
 
次の章から一つずつ説明していきます。
 
 
☆バフェットの投資スタイルは「グロース株投資」である。
 
グロース株とはいわゆる「成長株」のことで、今後の成長が見込まれる企業のことを言います。
そしてバフェットは「グロース株投資の達人」と言われており、これによって現在の投資成果を挙げてきたと言われています。
しかしこれは「変遷の後」であって、元々バフェットは「グロース株投資」をしていたワケではなく、それとは正反対のアプローチと言っても過言ではない「バリュー株投資」を行っていました。
というのも投資を始めた若い頃のバフェットの師匠は「バリュー株投資の父」として有名なベンジャミン・グレアムで、彼から徹底的にバリュー株投資を叩き込まれたそうです。
バリュー株投資は一般的にはPBRなどの指標に代表されるような「会社の清算価値」に注目して行う投資法で、「会社の清算価値>市場価値」となっていた場合に市場価値が会社の清算価値に収束するのを狙うことを言います。
つまりはグロース株投資は利益体質や営業能力などの主に「会社の質」に着目するのに対して、バリュー株投資はあくまで「会社の資産価値」のみに着目した投資手法と言える点で、この2つの投資手法は正反対のアプローチと言えます。
しかし後年になってからバフェットは現バークシャー・ハサウェイの副会長であり相棒のチャーリー・マンガーや、投資の先輩であるフィリップ・フィッシャーに出会ったことでグロース株投資を学び、「グロース株投資の方がバリュー株投資より優れている」という考えになって今があるのだと思います。
 
 
☆バフェットは一度買った銘柄は売らずに永久保有する。
 
バフェットは「一度買った銘柄は永久保有し、売らない」と言われていますが、実際には「バフェット銘柄」と呼ばれている主力銘柄を除いてけっこう頻繁にポートフォリオ内の銘柄を入れ替えています。
これはアメリカの証券取引委員会に投資会社やヘッジファンドが四半期に一度提出しなければならない「保有しているアメリカ上場の株式リスト」を確認するとわかります。(バークシャー・ハサウェイ保有銘柄)
おそらく入れ替えた銘柄は投資実行時に想定していたシナリオが途中で崩れたから売ったか、もしくは想定していなかったダウンサイドリスクを発見したから売ったかだと思います。
このようにバフェットは過去には確かに「買った銘柄は永久保有」と言ってたのかもしれませんが、実際にはそうでなくてちゃんと売る時には売っているということです。
 
 
☆バフェットは「ネット関連企業」は買わない。
 
バフェット自身は「自分の理解が及ばない企業は買わない」と言っているそうです。
そして「自分の理解が及ぶ企業」とはカード会社のアメックスや飲料メーカーのコカ・コーラや日用品メーカーのP&Gなどになります。
対して「自分の理解が及ばない企業は買わない」とは具体的には「ネット関連企業」で、2000年頃のインターネットバブルの時にもネット関連企業の株式に投資した他の投資家がめざましいリターンを挙げているのを横目で見ながら「ネット関連企業は自分には理解不可能だから買わない」と言って全く手を出さなかったそうです。
その結果、当時はネット関連企業への投資でめざましいリターンを挙げている他の投資家と比較して地味なリターンしか挙げていなかったバフェットは「昔日の象徴」とか「バフェットはもう終わったのか?」とか散々メディアで叩かれたらしいです。
しかしその後はインターネットバブルがはじけて他の投資家が退場していく中で、バークシャー・ハサウェイは生き残り続けたのは語り草となっています。
というようにバフェットは「ネット関連企業嫌い」として有名でしたが、近年ではアマゾン・アップル・IBMなどネット関連企業に巨額を投資しており、その考え方や行動は変遷しています。(他にもオラクルやベリサインなどに投資していた。ちなみにIBMは数年前に売却済み。)
アマゾン・アップル・IBMへの投資をする際に、バフェットはそれらの企業を今までのように「ネット関連企業」という括りで捉えるのではなく、「アマゾン=現代の買い物のインフラ企業」「アップル=現代の日常生活では欠かせない生活必需品の企業」「IBM=ネット関連企業にとって欠かせないインフラ企業」として捉えて直して実際の投資に至ったと言われています。(これらの企業に投資し始めたのは80歳を過ぎてから)
結果的にIBMはその後の経営があまり芳しくなくて売却に至っていますが、アマゾンとアップルに関しては未だにバークシャー・ハサウェイポートフォリオの一角を占めています。
このように確かに過去にはネット関連企業に見向きもしなかったけれども、思考を柔軟に変化させていった結果、現在はそれらに価値を見出して投資をするという行動に至っているワケです。
ちなみにアップルへの投資は、バフェットの後継者候補と言われているデビッド・ウェシュラーとトッド・コームズからの提案と言われているそうですが、いずれにせよバフェット自身はそこで納得したからこそ、最終的な投資決定がなされたのだと考えています。
 
 
☆バフェットは分散投資をしない。数銘柄に絞った集中投資をする。
 
バフェットは「数銘柄に絞った集中投資をする」と言われています。
しかし先述した「保有しているアメリカ上場の株式リスト」を見ると、バークシャー・ハサウェイ保有銘柄数はおおむね「40~50銘柄」だということがわかります。
これは集中投資と分散投資の定義にもよるんですが、仮に集中投資を「数銘柄程度への投資」と定義するのであれば、バフェットは現状では「分散投資をしている」と言えます。
ただ各銘柄のウェイトは割と一部の銘柄に偏っているので、バフェットとしてみたら「メインの銘柄には集中して投資するけど、他のは試しに買ってみた」くらいの感じなのかもしれません。
 
 
☆まとめ
 
上記で説明したことから、「バフェットは、その時々に合理的な意思決定が出来るように柔軟に思考を変化させている」と考えます。
僕も投資の入り口はバフェットですしその時からずっと尊敬していますが、要は言いたいのは、
 
「バフェット自身も自分の思考をその時々で変化させていっているので、バフェットが言っているからといって、そのことが投資における絶対的な真実や正解だとは限らない。」
 
ということです。
ただバフェットの言っていることは非常に合理的で実用的だと思うので、そこの部分は大いに自分の投資意思決定の際に参考にさせてもらっています。
そしてバフェットのように自分も「合理性を追求した柔軟な思考」を身に着けたいと思っています。
 
参考になれば幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。