現役トレーダー・フッキーの「金融リテラシー養成大学」

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株式投資を始める前に、自分に問いかけておくべきこと

どうもこんにちは。現役のトレーダーで、どちらかと言うと投機家のフッキーです。
当ブログでは、現役のトレーダーとしての実感・経験・知識から、「金融リテラシーの向上」に役に立ちそうな情報・知識をアウトプットしています。
 
今回は「株式投資を始める前に、自分に問いかけておくべきこと」について述べていきたいと思います。
※「ラジオ的に耳で聞きたい」という方のためにYouTubeでも同内容をアップしています。
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株式投資を始める前に、自分に問いかけておくべきこと
 
結論から言うと、
 
株式投資にお金と時間を使うよりも、自己投資や他のことにお金と時間を使った方が利回りがいいんじゃないか?」
 
ということです。
これは、
 
「慣れていないこと・経験がないことにお金と時間を使うよりも、慣れていること・経験があることにお金と時間を使った方が上手く行きやすいんじゃないか?」
 
と言い換えることも出来ます。
たまに知り合いや友人から「株式投資を始めてみたいんだけど・・・」という相談を受けるのですが、質問に答えたあとに必ず聞くのが「勉強のためにやっておきたいというなら止めないけど、お金を稼ぐことが目的ならば投資よりも自己投資や他のことの方にお金と時間を使った方が効率よく稼げる可能性ってないか?」ということです。
そしてそういう時に感じるのが、
 
「投資って楽して稼げる不労所得だと思ってるんだろうな。」
 
ということです。
このことについてはハッキリと「NO」と言っておきたいです。
 
 
株式投資は楽して稼げる不労所得ではない
 
個人的な意見ですが、株式投資は楽して稼げる不労所得ではないと考えています。
なぜならば投資決定をするまでに経ておいた方がいいプロセスが膨大なため、決して「楽する」ことは出来ないからです。
そして確かに「肉体的には不労」ですが、「精神的・知的には過労」だという実感なので、どちらかと言うと「不労所得」ではなく「過労所得」に該当すると考えているからです。
尚、個人的に「投資決定をするまでに経ておいた方がいいと思っているプロセス」は以下のようになります。
 
①取引期待値がプラスになりそうな仮説・モデルを立てる
②仮説を検証するために、該当する実際のマーケットデータを分析する
③分析して出てきた確率・平均値について統計的有意性を検証する(二項分布とかF検定とかT検定とか)
④その仮説で出てきたモデルのベータ・アルファを分析する
⑤「最悪の場合」でも生き残って、モデルを継続出来るような投下資金量を決定する
⑥実際のマーケットでやってみて、実数とモデルについて監視・分析する
⑦監視・分析の結果「モデルが正しいのかどうか?」を検討する
⑧モデルが間違っているとする結果」が出てこなかったらそのまま継続(このプロセスはモデルが上手く機能しないリスクが伴った状態なので結構ストレスがかかる)
⑨「モデルが間違っているとする結果」が出てきたら手仕舞って、イチからまたやり直し
 
このことを自分が(たぶん)出来ている理由は、「このことについて考えるのが楽しいし、専業なのでこのことに割く時間がたっぷりある」ということと、そもそも「これらのことをして収益を挙げないと生活が出来なくなる」ということがあります。
「絶対にこのプロセスじゃないとダメ!」ということではないですし、そもそもこれをやったからと言って絶対に利益が出るワケでもないし、何らならばまだ改良の余地は多分にあると考えていますが、それでも本業をしながらこれらのことをしようとするのは、よほど強いモチベーションがないと出来ないと思います。
それよりも「勝手知ったる本業やその他のことにお金と時間を使った方がもっと効率がいいんじゃないか?」と思っています。
そしてそれは「投資のROIC<本業のROIC」なのではないか、という考えが前提にあります。
 
 
☆ROICとは何か?
 
ROICとは「Return On Invested Capital」のことで日本語では「投下資本利益率」と言います。
計算式は、
 
ROIC=利益額÷利益を得るために投下した金額
 
です。
これを「利益額=収入の増加額」「利益を得るために投下した金額=自己投資の金額」と捉えれば、「自分ROIC」が計算できます。
そして一般的には「株式投資が上手く行った場合に得られる期待利回り=平均5~7%程度」と言われているので、「自分ROIC」が「5~7%」を上回っているのならば、そもそも株式投資をする経済合理性などなく、他のことをした方がいいということになります。
ポイントは「株式投資でそれなりの金額の利益を挙げるためには多くの投下資金量が必要だが、それ以外の場合はそれなりの金額の利益を挙げるためには投下資金量が多い必要はない」ということです。
例えば「50万円をかけて英語の勉強をして外資系企業に転職した結果、収入が100万円上がった」というのであれば「自分ROIC=200%(100万円÷50万円)」ということになります。
英語の勉強には時間がかかるかもしれませんが、同じ時間をかけてもこの200%を株式投資で挙げようとするのは非常に困難だと思います。
もし同期間に株式投資で200%のROICを達成できたとしても、それはたまたまである可能性も、あり決して「再現性がある」とは言えないので今後も同じことが出来るとは限りません。
その点英語の場合は一度身につけてしまえば脳の機能障害にでもならない限りは「再現性がある」ということになるので、今後も同じことを出来る可能性が高いと思います。
つまりは「自分ROICを上げること」の最大のメリットは「効率性が高いこと」と「再現性がある可能性が高いこと」だと考えます。
これが営業の方だったら「キーマンとのつながりを作るために、お金を払って経営者の会合に参加する」とかでもおそらくROICは相当高いんじゃないかと思います。
 
 
☆まとめ
 
以上色々と述べてきましたが、ポイントをまとめると、
 
⓪そもそも株式投資は「楽して稼げる不労所得」ではない(実感としては精神的な過労所得)
株式投資でそれなりの金額の利益を挙げるには、多くの資金量が必要
②そもそも株式投資が「上手く行った場合」に得られる期待利回り=平均5~7%程度である
③たまたま上手く行っても、その再現性は疑問符がつく
④一方「自己投資やその他のこと」でそれなりの金額の利益を挙げるには多くの資金量は必要ではない
⑤「自分ROIC」の方が利回りが高い可能性も高いし、再現性がある可能性も高い
 
ということになります。
株式投資も自己投資も「リスクがある」ということは共通していますが、最大の違いは「効率性」と「再現性」になります。
なのでみなさんも投資をする前にここらへんのことを気に留めて頂いた上で、株式投資をした方が効率がいいのか、それとも自己投資やその他のことをした方が効率がいいのかを判断して頂けたらと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。