現役トレーダー・フッキーの「金融リテラシー養成大学」

現役のトレーダーとしての実感・経験・視点から、「金融リテラシーの向上」に役に立ちそうな情報・知識をアウトプットしています。

良い取引手法と悪い取引手法の違い

どうもこんにちは。現役のトレーダーのフッキーです。
当ブログでは、現役のトレーダーとしての実感・経験・知識から、「金融リテラシーの向上」に役に立ちそうな情報・知識をアウトプットしています。
 
今回は「良い取引手法と悪い取引手法の違い」について述べていきたいと思います。
※「ラジオ的に耳で聞きたい」という方のためにYouTubeでも同内容をアップしています。
リンクはこちら↓
現役トレーダー・フッキーの「金融リテラシー養成大学」
 
 
☆良い取引手法と悪い取引手法の違いとは?
 
結論から言うと、
 
「期待値がプラスかつ、実際に実行可能かどうか」
 
です。
計算式に直すと
 
取引手法=期待値×実行可能性
 
という形にできるワケです。
つまり良い手法とは「期待値がプラス×実行可能」なのに対して悪い手法とは「期待値がプラス×実行不可能」ということになります。
例を挙げて説明します。
例えば「一日の安値で買って高値で売ると、取引一回あたりの期待値が+5%出る」といった手法があったとします。
一年間の営業日数が約250営業日なので、この取引の年間のリターンは「+5%×250営業日=+1250%」ということになります。
リターンだけ見たらとんでもなく優秀な取引になりますが、実行可能性を加味するのであれば、この取引の価値はゼロになると考えます。
というのも、全ての日数を一日の安値で買って高値で売るといった芸当はほぼ実行不可能だからです。
よってこの手法の「真の期待値」は、「+5%×0%=0%」ということになり、「やっても意味がない」ということになります。
対して「取引一回あたりの期待値が+0.100%」「実行可能性=100%」という手法があったとすると、取引一回あたりの期待値は上記の手法にはるかに及びませんが、今度は実行可能性が100%なのでこの手法の「真の期待値」は、「+0.100%×1%=+0.100%」ということになります。
これを250営業日行うと年間の期待リターンは「+25%」となるので、かなり立派な手法ということになります。
 
 
IPOで例えてみる
 
今までは仮の話でしたが、今度は「取引一回あたり期待値が大きいけど実行可能性が低い取引の代表格」である「IPO投資」を例にとって考えてみましょう。
IPOは良い企業の株を抽選で配分されると「取引一回あたりの期待値=+100%」と言われています。
しかしそんなことは誰でも知っているので、期待値が高い良い企業の株であればあるほど抽選の競争倍率が跳ね上がります。
仮に「取引一回あたりの期待値=+100%」「当選率=1%」とすると、IPO投資の「真の期待値」は
 
=+100%×1%
=+1%
 
ということになります。
いずれにせよ「取引一回あたりの期待値=+1%」はけっこう優秀な部類には入ると個人的には思うんですが、しかし一年間にIPOする企業は限られていますしそもそも当選率が低いので、年間の期待リターンを考えるとIPO投資は実行可能性の面から必ずしも優秀な手法とは言えないと思います。
 
 
☆まとめ
 
あと補足で投資セミナーや投資本などで言われている手法について述べたいと思います。
よく「儲かる手法を教えます」と言っていると思うんですが、この手法について考えられるパターンは主に2つです。
 
①期待値は確かにプラスかもしれないが、実行可能性が低いないしは実行不可能
②実行可能かもしれないが、そもそも期待値がちゃんとプラスかどうかわからない
 
①の場合は実行可能性の低さから期待値がゼロに限りなく近くなる可能性が高いので、セミナー代や本代の無駄になる可能性が高いです。
②の場合はいくら実行可能でも「サンプル数・期待値・確率の統計的有意性・ベータとアルファ」を知ることが出来なければ、その手法は疑ってかかった方がよいと思います。
 
参考になれば幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。