現役トレーダー・フッキーの「金融リテラシー養成大学」

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おススメされたファンド・手法の良し悪しの見分け方

どうもこんにちは。現役のトレーダーで、どちらかと言うと投機家のフッキーです。
当ブログでは、現役のトレーダーとしての実感・経験・知識から、「金融リテラシーの向上」に役に立ちそうな情報・知識をアウトプットしています。
 
今回は「おススメされたファンド・手法の良し悪しの見分け方」について述べていきたいと思います。
※耳で聞きたい方のためのラジオ版(同内容のYouTube)はこちら↓
 
 
☆ファンド・手法の良し悪しを見分ける4項目
 
おススメされたファンド・手法の良し悪しを見分けるには主に以下の4つの項目をチェックします。
 
①サンプル数
②期待値
③確率の統計的有意水準
④ベータ・アルファ
 
では具体的に説明していきます。
 
 
☆①サンプル数
 
サンプル数を見る理由は、
 
「例えそのファンド・手法が利益が出ていても、もし少ないサンプルだった場合は、それがその期間にたまたま上手くいっただけの可能性があるから」
 
です。
最低でもサンプル数は100個、というか100個でも少ないくらいです。
サンプル数が500~1,000個くらいあればまあまあ信用出来ます。
例えるなら「コイン投げで表を80%の確率で出す方法」という本を書いた人が「10回コインを投げて表:裏=8:2」だったら信用出来ないですが、「500回コインを投げて表:裏=400:100」だったらまあまあ信用出来ると言った感じです。
 
 
☆②期待値
 
「期待値がプラスの取引」を目指すのが個人的には良いと思っているので、サンプル数が多くても「プラスの期待値」が出ていなかったら意味がないです。
更に言えばプラスの期待値が出ていたとしても、コストを差し引いてもまだプラスじゃないと意味がないです。
期待値を算出するのに必要なのは
 
一回あたりの利益
一回あたりの損失
利益確率
損失確率
 
になります。
特に重要なのが「利益確率:損失確率」です。
 
 
☆③確率の統計的有意水準
 
期待値がプラスでも「確率の統計的有意水準」を分かっておいた方がいいと思っています。
なぜなら「統計的有意水準の下限の確率では、期待値はどうなるのか?」を計算できるからです。
これを計算しておくと「最低でもこれくらいの期待値は出そうだ」ということのアタリがつくようになります。
 
例えば利益確率=70%だったらプラスの期待値が出るけど、利益確率が60%を下回ったら期待値がマイナスになる取引があったとします。
これの統計的有意水準を調べて「5%有意水準or1%有意水準で利益確率60%以上」ならプラスの期待値が出る可能性が高いですが、「5%有意水準or1%有意水準で利益確率55%以上」となったら最悪の場合には取引期待値がマイナスになる可能性があります。
 
このように統計的有意水準を調べ、そしてそれによって期待値計算をすることで「潜在的なマイナスの期待値」を回避出来る可能性が高まるワケです。
 
 
☆④ベータ・アルファ
 
十分なサンプル数・プラスの期待値・統計的有意水準が分かってもまだ足りていないのは「それがマーケット全体の動きにたまたま乗れただけなのか?それとも実力なのか?」という視点です。
それを判別するのが「ベータ・アルファ」という指標です。
ベータは「マーケット全体との連動性」を示す指標で、アルファは「マーケット全体とは関係のない独自の動き」を示す指標です。
つまりはいくらリターンが良くてもそのベータが高くてアルファがゼロだったら「たまたまマーケット全体の動きに乗れただけで、実力および再現性はない」と推測出来ますし、逆にベータがゼロ近辺でアルファが高かったら「マーケット全体の動きとは関係なく、実力と再現性がある」と推測出来ます。
言い換えれば「ベータ=偶然の要素」で「アルファ=実力の要素」なので、ファンド・手法のリターンについて考える時には「それがたまたまなのか?それとも実力なのか?」を分けて考えた方がいいと思います。
以前に「ベータ・アルファ」について個別に解説した記事があるので、もうちょっと詳しく知りたい方はリンクを貼っておきますので、そちらをご参照下さい。
 
 
☆まとめ
 
以上の4項目が全てわかり、かつ納得のいく水準の数値であった場合には投資を検討・実行する価値があると思われますが、わからないのだったら個人的には検討・実行はしたくありません。
そしてこの4項目を調べるプロセスは正直面倒くさいですし、これをやったからと言って絶対に損失を回避出来るとは言えないですし、何ならばシステム2を多分に使うので脳への負荷は高い作業ですが、個人的にはやらないよりもやった方がマシだと考えます。
少なくとも「システム1を使った投資検討・実行よりはマシ」だと考えています。
 
ちなみに僕の「サンプル数・期待値・確率の統計的有意水準・ベータとアルファ」については「プロフィール」のページに書いてあるので、そちらをご参照下さい。
 
参考になれば幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。